ものづくりの未来像を目指して



価値創造デザイン推進基盤
副基盤長 新野俊樹

価値創造デザインという取り組み

世界の人々に真の豊かさを提供するためには、優れた技術だけでなく、そこへデザイン視点を取り込み、新たな価値を創造することが重要だと考えます。
東京大学生産技術研究所(Institute of Industrial Science: IIS)は、こうした価値創造が持続的に起こる「ものづくり未来像」の実現へ向けて、そのための仕組み作り・人材育成の取り組みを始めました。
これがIISの「価値創造デザイン(Design-Led X)」です。

IISの強み

IISは、日本最大級の大学附置研究所です。110名を超える教授、准教授、講師のそれぞれが研究室をもち、国内外から1,000人を超える研究者が、基礎から応用まで、工学のほぼすべてをカバーする分野で研究を行っています。
量子レベルのミクロな世界から地球・宇宙レベルのマクロな世界を対象に、最先端の研究を行っています。

IISの強みは、このように工学の優れた知と技術が集積化されていることにあります。このものづくり基盤に、デザイン視点を取り込み、さらには産官学民の力を結集させることにより、世界に類を見ない価値創造の場を形成したいと考えています。

価値創造デザインが目指すものづくり


「テクノロジー」と「ユーザー目線」を両輪とするデザイン

技術が世界中に拡散するスピードが速くなった今日、イノベーションを起こすための重要な鍵は、
「人に豊かさをもたらすデザイン」だと考えます。

高度な製造技術を駆使しても、ニーズに合わなければユーザーに受け入れてもらえません。
ニーズに迎合しても、ありふれた技術の組み合わせでは、新しい価値を提供できません。
私たちは、「テクノロジー」と「ユーザー目線」の両方の視点からデザインすることによって、
新たな価値を生み出せると考えます。

価値創造デザインの4つのアクション


Ⅰ.価値創造プロセスの開発   −イノベーション・プロジェクト−

デザイナーとエンジニアの協働、および、デザインとプロトタイピングの繰り返しにより、作り出すモノのもつ意味・価値を発展させていく“価値創造プロセス”を開発します。
そのために、デザイナーとエンジニアが協働する仕組みである“デザインラボ”を設置し、アイデアを素早く形にし、その価値を評価できる“先進的プロトタイピング”の利用環境を整備します。
IISおよび参加企業の有するものづくり技術(素材・加工技術・部品からメカ・ソフトまで)が価値創造に活かされるとともに、それらの高度化も促されると期待されます。

Ⅱ.産官学民共創の場の創出

産学官民の知・技術・人材が交差することにより価値を共創するための、オープンでニュートラルな場を作り出します。また、海外のデザイナーを呼び込み、外国人の視点を取り入れます。

Ⅲ.教育と人材育成   −イノベーション・アカデミー−

価値創造プロセスの開発(イノベーション・プロジェクト)、セミナー・ワークショップ・フォーラムを通して、新たな価値創造に貢献する多彩な人材を育成します。
例えば、機能性と審美性を統合的に扱えるデザインエンジニア、製品プロデューサーなど。学生から社会人まで、様々な立場から、ものづくりに関する技術・知を習得し、価値創造の経験を積むことができます。

Ⅳ.ものづくり基盤技術の深化

新しいアイデアとニーズに触れることによって、ものづくりに関わる基盤技術自体が高度化すると期待されます。特に、協働する場を通して、本質的に重要な長期的課題を発掘し、それを解決するための基盤研究を推進します。

価値創造デザイン推進基盤


価値創造デザイン推進基盤は、「価値創造デザイン」に関する研究教育を推進し、また同時に国内外に開かれた産学官民協働拠点を形成することを目的に東京大学生産技術研究所内に設置された研究施設です。

以下のメンバーにより組織されています。

基盤長
岡部 徹
副基盤長
新野 俊樹
所属教員
山中 俊治、ペニントン マイルス、尾崎 マリサ
芦原 聡、今井 公太郎、小倉 賢、佐藤 洋一、長谷川 洋介、藤井 輝夫、本間 裕大、野城 智也、吉川暢宏
木下 晴之、本間 健太郎、村松 充、森下 有
事務局
岡安 美枝、勝又 智子

組織構成


価値創造デザインは、価値創造デザイン推進基盤による運営のもと、様々な組織が協働し推進されています

価値創造デザインコンソーシアムは、様々な業種の企業、官公庁、学術機関で連携した、産官学民共創のためのプラットフォームです。オープンなコラボレーションの場で、それぞれの人材、技術、アイデアを持ち寄り、価値の創造を目指します。

RCAxIIS Tokyo Design Labは、東京大学生産技術研究所と英国Royal College of Artによる連携によって組織されたラボで、多様な専門性を持った研究者、デザイナーによって組織されたマイクロラボによるイノベーション創出や、デザイン思考と先端研究をテーマにしたワークショップの実施等を行います。